那覇から飛行機で約1時間。八重山の玄関口石垣島。2013年春の新空港の開港により、ますます多くの人が訪れるようになりました。リピーターが多いという石垣島。ファンを魅了しているものは、なんといっても表情豊かな自然。陸には沖縄県で一番高い於茂登岳にマングローブの森を流れる宮良川。海はぐるりと珊瑚礁に囲まれ、青のグラデーションが陽にきらめきます。

「飛行機で上空からこの島を見た瞬間、ここだ!と感じたんです」とは、新空港からほど近い白保で古民家の宿を営んでいる奥谷麻依子さんとご主人のパトリックさん。家族4人で3年前に石垣島に移住しました。

ル・ロチュス・ブルー

石垣市白保148
http://www.lelotusbleu.asia/

奥谷さん一家の暮らす古民家は、元々工芸館だった建物。今はその1階に家族で暮らし、2階を旅行者に週単位で間貸ししています。「いろいろな都合で週単位になったのですが、結果的に良かったなあ、と思っています。慌ただしく予定を詰め込んだ旅ではなく、のんびりと暮らすように滞在しながら、石垣の魅力を体験してもらいたいと思っているので」

石垣に暮らして一番感動したことは?と奥谷さんに訊いてみました。「言うまでもありませんが海の美しさ。いろんなビーチでシュノーケルしましたが、世界最大級と言われているアオサンゴのあるここ白保の海は一番すごいと思います。暮らしているすぐそこに、 楽園のようなビーチがある。魚もフルーツも野菜もおいしい。でもやっぱり台風はこわいんですけど(笑)」

そう話す奥谷さんおすすめは、白保の物産市「白保日曜市」。地元でとれた野菜や魚、それらを使ったお弁当に作りたてのお餅やサーターアンダギーなど白保の味覚が勢揃い。おじいやおばあの作った民芸品も並び、作り方を教えてくれるワークショップも開催。「簡単だよ」と、おばあはささっと作りますが、やってみると結構難しいものです。「この白保という小さな村では、おじいおばあがとっても元気で、子どもたちをやさしく見守ってくれます。子どもをおつかいに行かせると、お店のおばあから『えらいね』とおみやげをいただいてきたり。都市にはもう忘れられてしまった、なくなってしまった、人のつながり、というものが感じられます。その中に、お祭りや行事がたくさんあって、伝統的な踊りや歌がたくさん息づいているんです」

WWFしらほサンゴ村で毎週開催されている「白保日曜市」で人気「カナッパ弁当」。カナッパ=葉っぱの器に盛り付けられているのは、白保産米のおむすびや魚の素揚げ、ちゃんぷるーなど、おばあの手料理。「八重山の産業祭り」の八重山弁当グランプリで金賞を獲得したおいしさです。

人々がつながり、地域とつながり、過去と未来とがつながってそのなかに暮らしがある石垣島。島の中でも、地域ごとにお祭りや踊りはそれぞれ独自だそう。石垣島は、自然も人も伝統も、表情豊か。一筋縄では語れません。

だから、できればじっくりと滞在して暮らすように土地の流れに身を委ねてみませんか?そうすることでもっともっと深く、石垣島の魅力が実感できるのかもしれません。

八重山を五感で味わうということをコンセプトにした食事処。夜光貝やグルクン、ガザミなど石垣の海の幸を中心に、ちゃんぷるー各種や石垣牛などメニューが豊富。「八重山の古民家のすばらしい雰囲気の中で郷土料理と郷土音楽が味わえておすすめです」(奥谷さん)。お客さんも参加しての民謡ライブは、沖縄を体感できる楽しい時間です。

石垣市字新川2468-1
http://www.funakuranosato.com/

八重山では古くから、女性から男性に婚約の印に帯を贈ったそう。この帯には五つと四つの絣模様が織り込まれており、「いつ(五)の世(四)までも末永く」という想いが込められています。この「八重山みんさー織り」の手織り体験ができるのがみんさー工芸館。30分ほどで作れるコースターを体験し、みんさー織りにハマって何日か通って大物に挑戦する人も少なくないそうです。

石垣市登野城909
http://www.minsah.co.jp/

「断崖の上から見渡すターコイズブルーが圧巻です!」(奥谷さん)。リーフの外側の深い青、海底の砂浜が反射して光る淡い青、岩や珊瑚の黒い影、そして白いビーチ……。石垣島の海の造形や色彩を見渡すことができる絶景ポイントです。石垣島の最北端ゆえアクセスに時間がかかるので、のんびり石垣島ドライブするときの目的地のひとつにオススメです。